河内新聞に ”健康体を生かす医療” を掲載しています



      
 
         
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                    2011年1月 掲載


iPS細胞は現代医学の最先端―これをどう生かすか

新年あけましておめでとうございます
 
新たなガンの予防・治療・ケアーの展開

 この連載も今年で6年目に入ります。ご承知いただいておりますとおり、慢性疾患の患者主体の予防方法の確立とその普及が、本連載の大きな目的です。本ページ裏面のバックナンバー一覧表(2006年から2010年)を見ていただければ、慢性疾患に対し新たな発想で、自然の一部である人体の「しくみ」を捉えていこうとするこれまでの軌跡がお分かりいただけると思います。

 これからさらに、がんを含めた慢性疾患の患者主体の予防・治療・ケアーをより適確にするためには、次の二つの点が重要です。
    一つは、「生」とともに「死」をどうとらえるか。
    二つ目は、「生」を充実するために、現代医学をどう生かすか。
    
 今回は、この問題を考える上でうってつけの題材である2010年9月18日放送のNHKスペシャル
『生命の未来を変えた男』〜山中伸弥iPS革命〜をもとに話しを進めていきたいとおもいます。

【T 知らなかったiPS細胞の驚異】

 Q わたしもその番組を見ていました。
   脊髄が傷つき歩けなかったマウスが、iPS細胞を使うと歩けるようになったのにはびっくりしました。
   
 A iPS細胞によってマウスの脊髄が再生して歩けるようになりましたね。
   また、今この原稿を執筆中にうれしいニュースがありました。12月7日、神戸市で開かれている日本分子生物学会で、
   脊髄損傷のために首から下が動かなくなったサルを岡野栄之・慶応大学教授らが、人間のiPS細胞を使って治療に
   成功したと発表しました。サルは十数日で、後ろ脚で立ち上がり、約6週間後には歩き回れるまでに回復。
   前脚の握力も戻ったということです。霊長類への応用は世界ではじめてとのことです。
   
 Q すごい!これでまた、iPS細胞を活用した、現代医学の最先端の再生医療の人間への応用にはずみがつきましたね。
   また、病気の原因をつきとめ、新しいクスリをつくる研究も急速にすすんでいるそうですね。
   
 A そうです。iPS細胞研究の目的は
   1 再生医療 iPS細胞を使って臓器や組織をつくりだすこと
   2 病態の解明と創薬 病気の原因をつきとめ、新しいクスリを創り出すこと
 
    これらの二点にあります。
 
 Q すばらしい。こういった方向の現代医学の臨床への応用に期待が高まりますね。

 A そうです。非常に期待されています。

 Q それはそうと、iPS細胞は、実際どう作られるのですか。 

 A その作り方は意外と簡単なのです。例えば皮ふの細胞を採取し、その細胞に山中博士が発見した山中ファクターと
   呼ばれる特定の4つの遺伝子を入れ培養するのです。そうすると、この番組中の例では、2週間目に細長い皮ふ細胞が、
   丸いiPS細胞に変わるのです。

 Q へーえ、そんなことができるのですか。
しかし、どうしてiPS細胞はこうも世間でさわがれるのですか。またどうして山中博士が生理学医学のノーベル賞に
一番近い男などと言われるのですか。

 A それは、iPS細胞があらゆる細胞に変化する能力をもっているからです。皮ふや肝臓の細胞に山中ファクターを加え
iPS細胞をつくると、そのiPS細胞が心臓の筋肉の細胞に変わったり神経細胞などに生まれかわるからです。
そこが今までになかった大きな発見です。

 Q それはすごいことですね。

【U iPS細胞がおこす医療革命】 

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                    2011年2月 掲載



 iPS細胞は現代医学の最先端

   これをどう生かすか2

  新たなガンの予防・治療・ケアーの展開

 前回一月号では現代医学の最先端で医学上の大発見であるiPS細胞を題材にして、その意義とメリット・デメリット、そしてiPS細胞を発展させた先端医療に対する私の視点を述べました。
今回はさらにその視点を深め、iPS細胞を含む現代医学をどう大きく生かすかということを提案したいと思います。

【T「老い」と「死」は防げない】

 生命の発生から38億年間、「いのち」が受け継がれ「人体」という「しくみ」ができています。今回題材にしている@PS細胞を含めて、実に多くの驚くべき「しくみ」を内蔵しているのが私たちの「人体」なのです
現代医学のクスリ・手術また、@PS細胞を含む先端医療は、これからも人間が「生きてゆく」上でなくてはならないものです。しかし主ではありません。主となるのは、あくまで38億年受けつぎ形づくられてきた私たちの「人体」の「しくみ」なのです。
その意味で私たち自身の「人体」の「しくみ」が主役でiPS細胞から生まれる先端医療そのものも、本来脇役です。二番手なのです。iPS細胞による先端的な医療がいかに進歩しても「老い」と「死」そのものは防げません。あるのはより良い「老い」であり「死」です。

 医師も患者も、患者をとりまく家族も、この現実を腹にすえてより良い「老い」と「死」を受け入れることが、また医療そのものの限界を受け入れること自体が、逆に現代医学の長所を確実に生かすことに通じてきます。
このことを医師・患者・家族が理解してこそ、はじめて現代医学がその役割を全うし、現代医学がもつそのすばらしさをいかんなく発揮できることになります。
またそのことによって、患者も限界のある現代医学の恩恵を十分に受け、あらためて医師への信頼をおけるようにおのずからなってくるのです。また医師も医師としての誇りをもつことが出来るようになるのです。

 【U 「人体」はすばらしい「生きもの」】
 Q iPS細胞を含む現代医学をどう生かすかとは、何ともむつかしいお話しですね?

 A いやいや。本当のところは、そんなにむつかしい話しではないのです。クスリ・手術・iPS細胞を含めた先端医療が
   本当に人間のためになっているか、現代の医学では逆に医療技術が人間よりも優先されたことになっていないか
   ということです。
   もうひとつ基本的に考えておくべきことは、私たち「人体」は「生きもの」だということです。「生きもの」とは、食べて・くそを
   して・寝て・子を産み・育て、死んでゆくということです。

 Q それはどういうことですか?

 A 「人体」も一個の「生きもの」であり、人生そのものは、「人体」が「生きもの」でありつづけることがその基本にあると
    いうことです。「人体」は食べないと死んでしまいます。「人体」が「生きる」ための土台は、他の動物と何ら変わりが
    ありません。 たとえiPS細胞に関する「しくみ」が解明されても、いかに科学技術や医学が発達しても、「老い」と
    「死」をとり除くことはできません。

Q 確かに細胞一つ作れないですものね。

                          ・・・・・ 続きは 河内新聞 をお読みください

 
                    2011年3月 掲載


iPS細胞は「現代医学」の最先端

       これをどう生かすか3

 「現代医学」のすばらしさをどう生かすか  「現代医学」がおちいっている迷路からどうぬけ出すか

 「生命」と「地球」が共に進化することによって生まれた「いのち」のつながり方から医療を考える

 新たなガンの予防・治療・ケアーの展開

【T 患者主体の慢性疾患の予防方法の確立とその普及が必要】

 (疾病構造の変化)
   戦前や戦後しばらくは結核・呼吸器疾患・胃腸炎が三大死因でしたが、現在の疾病構造の中心は慢性疾患です。
   疾病構造の中心が、感染症から慢性疾患に移っていることが一番の理由です。三大死因(ガン・心疾患・脳血管疾患)
   はすべて慢性疾患で、これらの三疾患のみでも全死の6割を占めます。三大疾患に代表される慢性疾患の効果的な
   対応なくして、日本人の健康はありません。

 (予防とケアーが医療の中心に)
   慢性疾患は日常生活のあり方からおこるものです。生活習慣のまちがいが蓄積され、人体の正常構造と機能がうまく
   働かなくなり、さらにそれに加齢現象が重なりあったのがその主な病態です。そのため、生活習慣の改善と老化への
   対策がせまられています。治療より予防とケアーが必要なのです。

 (患者が主体に)
   急性疾患の治療においては、その担い手は明らかに医師で、患者は治療の受け手としてだけの存在です。しかし、
   慢性疾患の予防においては、医師は専門家としての指導はできますが、その予防の担い手はあくまでも患者自身です。
   慢性疾患の医療においては、予防とケアーが医療の中心にならざるをえず、したがって患者が医療の主体とならざる
   をえません。

 (慢性疾患の治療と予防に対応できていない現在の医療)
   しかしながら、現在の医療(現代医学・東洋医学・その他の医学)は慢性疾患の治療と予防に対応できていません。
   その原因は本紙平成18年1月〜3月号(現在の日本医療再生への提言)に指摘させていただきましたのでご参照ください。
   そこで、世界的に、特に高齢化社会となり、またなりつつある国々では、慢性疾患についての考え方、およびその
   具体的な予防方法の確立が切実な課題となっています。

   日本人も、中国人も、アメリカ人も、ヨーロッパ人も、アフリカの人々や南米の人々も、同じ人間としてその人体の「しくみ」
   そのものに変わりはありません。そのため、日本で慢性疾患の予防方法を私たちの手で確立することは、とりもなおさず
   世界基準を創り出すことになります。

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                    2011年4月 掲載

*現代医学のすばらしさをどう生かすか   *現代医学がおちいっている迷路をどう抜けだすか。

 東北地方に地震・津波・火事・原子炉の破損が発生―未曾有の大災害
《日本の復興・再生を祈念して》
  東北地方の被災者の方々には心よりお見舞い申し上げます
 
 平成二十三年三月十一日午後二時四十六分、東北地方太平洋沖地震のため、信じられぬほど多くの被害者がでました。特に地震の規模の未曾有の大きさと、その津波の甚大な被害は全世界に衝撃を与えています。また原子炉の破損のために生じた目に見えない形でしのびよる放射能汚染の恐怖は、日本の歴史始まって以来のだれもが経験したことのないもので、言葉につくせない深刻なものになりつつあります。
この重大な事態にいたって、日本国統合の象徴としての天皇陛下(写真1・2)は、三月十六日、東日本大震災の被災者や国民に向けて、はじめてメッセージを発表されました。その内容は次のとおりです。

[天皇陛下のお言葉全文]

 この度の東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9・0という例を見ない規模の巨大地震であり、被災地の悲惨な状況に深く心を痛めています。地震や津波による死者の数は日を追って増加し、犠牲者が何人になるのかもわかりません。一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています。また、現在、原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ、関係者の尽力により事態の更なる悪化が回避されることを切に願っています。
 現在、国を挙げての救援活動が進められていますが、厳しい寒さの中で、多くの人々が、食料、飲料水、燃料などの不足により、きわめて苦しい避難生活を余儀なくされています。
その速やかな救済のために全力を挙げることにより、被災者の状況が少しでも好転し、人々の復興への希望につながっていくことを
願わずにはいられません。そして、何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。
 自衛隊、警察、消防、海上保安庁をはじめとする国や地方自治体の人々、諸外国から救援のために来日した人々、国内のさまざまな救援組織に属する人々が、余震の続く危険な状況の中で、日夜救援努力を進めている努力に感謝し、その労をねぎらいたく思います。
 今回、世界各国の元首から相次いでお見舞いの電報が届き、その多くに各国国民の気持ちが被災者とともにあるとの言葉が添えられていました。これを被災者の人々にお伝えします。
 海外においては、この深い悲しみの中で、日本人が、取り乱すことなく助け合い、秩序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。これからも皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています。
 被災者のこれからの苦難の日々を、私たち皆が、さまざまな形で少しでも多く分かち合っていくことが大切であろうと思います。被災した人々が決して希望を捨てることなく、身体を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう、また、国民一人びとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者とともにそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています。

 今回のお言葉は、日本国民の統合の象徴として、また日本国民の文化の中心として存在されているご自分のお立場=天皇として、その心からの「おもい」を国民に表されたものです。この歴史的に重大時の天皇の「おもい」を私も日本の国民の一人として大切に受け取り、また読者のみなさま方にも心していただきたいと願っております。

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                    2011年5月 掲載

 iPS細胞は現代医学の最先端E 
        これをどう生かすか

「現代医学」のすばらしさをどう生かすか 「現代医学」がおちいっている迷路からどうぬけだすか

   新たなガンの予防・治療・ケアーの展開  

 前回までに「死」とは「生きもの」と地球がともに影響しあうことによって生まれた「しくみ」であることが分かりました。
「生きもの」の「死」は子孫が「生き残る」ためにできた大きな「しくみ」であることが明らかになりました。
「生きもの」である私たち人間の「死」も次の世代のためになくてはならないすばらしい「しくみ」であるということがハッキリとしてきました。
「死」とは「生きもの」が「いのち」をつなぐために生まれ進化してきた「しくみ」だったのです。その意味では「死」を中心にして「生」があると言っても過言ではありません。
 そこで今回問題となるのは、医学特に現在医学の中心である現代医学の役割です。現代医学が「死」を防ぐことを目的とするのみでは、「生きもの」として生きる私たち人間に

                          ・・・・・ 続きは 河内新聞 をお読みください

  
                    2011年6月 掲載

 
 iPS細胞は現代医学の最先端E
        これをどう生かすか

「現代医学」のすばらしさをどう生かすか 「現代医学」がおちいっている迷路からどうぬけだすか

   新たなガンの予防・治療・ケアーの展開  

 【T 人間も「動物」。その「死」を中心にして「生」を観る】
 「生きもの」が「生きている」とは「いのち」をつないでいることです(注1)。「いのち」をつなぐとは、限りある自分の個人としての「いのち」を「生きぬく」ということと、子孫により良い「いのち」をつなぐという二つの意味があります。その意味で
「生きもの」が生きる目的は、無意識ですが、「いのち」を途切れなくつなげることにあります。その「いのち」のつなぎには、いわゆる人間の「思考」とか「こころ」とか「霊性」とかは二の次です。原始の「生命」の誕生から現在の「生きもの」にいたるまで、40億年もの「いのち」のつながりがあります。

 忘れていけないのは、人間もそこに含まれる「生きもの」であり「動物」でもあるのです。精神をもつゆえに「人間は万物の霊長」であり、「動物」の中でとびきり人間が上等であると考えるのは、人間の思い込みです。生物の分類からみれば数多くの種類の「生きもの」の中のサル目(霊長類)の一つである「ヒト科」の「動物」なのです。
 他の「動物」に、それぞれの動物的特徴があるように、人間が二足歩行をおこない、手を自由に使い、大脳が発達してあれこれ考えるのも「動物」としての人間の特徴なのです。人間も「動物」であることに変わりはありません。
人間は「神に似せてつくられた」特別な存在だというような人間中心の観念は西洋に源を発する考え方です。しかし、その考え方に、大きな問題のあることが分かってきました。そのため、その人間中心の考え方を見直すことが求められているのです。そして人間の「死」についても、「動物」である人間の「死」としてとらえなおすことが、人間中心の考え方を見直す大事な基本的な視点となります。

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