たまごビル健康講座   平成18年5月20日



5月度 演題 
 地下鉄サリン事件 驚きの真相と 新しい心肺蘇生法


       講師 関西医科大学 救急医学科 中谷 壽 男 教授





 
【石垣 邦彦 たまごビル院長】 

 石垣院長が強く訴えたのは、人の命の大切さと、私たちがやらなければならない事です。

八尾市内で、心肺停止状態になり救急車で病院に搬送された194人の内、1か月後に生存していたのは3名で社会復帰できたのは1名と言う現実があります。

脳は5分以上血液が止まっていると脳細胞が死んでしまい、命にかかわります。
ところが救急車が到着するまで、平均6分以上掛かってしまいます。

石垣院長が強く勧めているAED(自動除細動器)の普及運動や、救急法の実施で、私たち1人1人が人を助けられる存在である事が重要と石垣院長は訴えます。




【中谷 壽男 教授】   

救急隊指導医として、東京消防庁総合司令室での様々なエピソードが披露されました。
東京消防庁が持つ巨大な救急車が大規模災害や事件での活躍から、日々の救急の状態まで話されました。

救急車は急病や、事故にあった人たちの命を救う為に重大な役割を果たしています。119番通報があると、電話は司令室にかかり、現場近くの救急車に出動の指令がかかります。

しかし、救急車が出払っていると、次々に近い順に指令が出されます。タクシー代わりに使ったり、いたずらなどで、救急車が出払っていると、遠い場所からの出動になり時間が掛ります。

また渋滞のため、現場に到着するまでの時間が年々長くなっています。今一度救急車の重要性と利用方法を見直す必要があります。

(地下鉄サリン事件) 

 事件当日、指導医として勤務されていました。
最初は地下鉄の中で爆発事故があったと連絡が有りましたが、状況からサリンが疑われました(松本サリン事件があった為)。

救急は緊急事態のため予告なし搬入で患者を病院に運びました。各病院からはサリンの治療法や、治療薬の問い合わせがあり、対応しました。

ここで、思い知らされる事がありました。それは自衛隊の出動です。
毒ガスや、テロに対する装備や研究は自衛隊が非常に優れており、活躍しました。

軍事目的と、救急医療との差でした。患者を搬送した救急隊員がサリンの被害を受けた事などから、防毒マスクや防護服などが配備されましたが、何時も先頭に立って人を救護する隊員が、危険にさらされていて、実際に被害を受けている現実を知りました。

(イラン イラク戦争)  

イラク軍が使用したマスタードガスで、重症を負ったイラン兵士が世界各地に搬送され、日本でも治療しました。

中谷先生も治療にあたりました。イラン兵士は全身の皮膚が火傷の様な状態で、ガスを吸ったため肺にも障害を受けていました。

兵士は、ガスを吸って意識不明の状態で日本に来ました。最初は言葉も分からず、敵国に捕まり、虐待されていると思ったそうです。

17年後に再会をはたしました。

(心肺蘇生術とAED) 




 石垣院長が話された通り、現在は心肺停止から、200人に1人ぐらいしか助からない状態です。

5分以内に近くに居る人が心肺蘇生術とAEDを行う事が命を助けるのに大切な事です。

AEDの使用法

  @電源を入れる
  APADを患者に付ける
  B機械が解析する
  C必要なら充電する
  D機械が指示すれば、放電ボタンをおす