たまごビル健康講座   平成14年5月11日



 5月度 演題 自宅で死を看とる幸せについて
         − 家 庭 教 育 の 要 − 
 
   体験発表者 U N さん   


 講師 たまごビル院長 
         石垣 邦彦 先生 

  大阪看護協会  横手 喜美恵 先生 
  長養寺住職      大野 陽芳     師 



        
               U N さん

 U N さんの義母の癌が見つかり、余命の1年間を自宅で看とる事から
得られた貴重な体験を話されました。

高齢の義母は、手術しても余命1年といわれました。
手術の日程は決まっていたのですが、手術して苦しんで亡くなるより
手術しないで、楽しく余生を送ったほうが良いのではないかとの
石垣先生のアドバイスで、手術せずに通院しながら自宅で看護する
事になりました。

たまごビルとの連携や、一年間の思い出、旅の話、義母の人となり、
最期まで楽しく、子、孫、ひ孫16名に囲まれ心安らかに自宅で息を引き取られ、
副院長の指導で、家族で風呂に入れ、着替え、合掌し、涙の中に
何かすがすがしい気持ちが沸き起こり、本当にありがたかったと話されました。


             
                 
石垣 副院長

      
***** たまごビル 石垣院長 *******

        
           石垣院長

現在殆どの人が自宅での死を望んでいるにもかかわらず、
約90パーセントの人が病院で死を迎えています。なぜでしょうか。

人間は必ず死ぬと分かっていても、死は経験できない事から、
初めての事への不安・孤独から、慣れ親しんだ自宅で、肉親の
もとでなくなりたいのは、当然の心底からの思いです。

しかし、効率を求めた細分化により、あらゆる面で生活全体を
経験できない状態、核家族等で親子孫へとの伝承の出来ない
状態では、自宅での看護・治療・まさかの時の不安等の為に、
人任せ、病院任せの状態になってしまい、人生の最期の切なる
思いが踏み砕かれています。

ここで、自宅で死を看とることが出来るシステムが必要です。
そのシステムとは、患者さん、家族、の不安をとる為に、近くの
開業医の往診、まさかの時の病院、具体的看護、指導、適切な
アドバイスと医療との連携、統合が出来るたまごビルの様な
キーパーソンが必要で、その上での責任分担により、患者さんと
家族が安心して暮らせることになります。

もう一つ大切なことは、自宅で死を家族で看とる事により、看とる
側の今後の生活の糧、心の支えとなる事です。しかも、これが子
から孫、孫からひ孫と代々伝わり太い伝承となり子孫の生活を
保障することにつながります。
この事が家庭教育の要であり、自宅で死を看とる幸せになります。


***** 大阪看護協会 横手 喜美恵 先生  ******

    
       
横手 喜美恵 先生

病院に入院していられる日数は、どんどん少なくなってきており、
今後は末期の方は自宅で過ごす事が多くなります。
また、病院とは治療をする所で、患者の死は医療の敗北との
考え方から、末期の患者に対する対応は充分出来ていません。
自宅にお伺いする訪問看護などでは、患者や家族の方の力となり、
末期の方への対応も充分出来る事を知って欲しいとの事です。
石垣先生の唱えられるシステムの一員として相談して欲しいとの事です。
*****  長養寺住職 大野 陽芳 師 ******

    
           
大野 陽芳 師

仏教からの死に対する精神的な考え方や、様々の儀式の心得
などを話されました。仏教では生、老、病、死を四苦と言います。
世の中には苦しい事が多く有りますが、日々を苦しみから逃げる
のではなく、今日一日を大切にする気持ちで暮らす事が大切で、
死ぬことに対しても同じ事とのことです。
日々是好日の精神で、生きると言うことが大切な考え方です。