たまごビル 健康で生きる力をつける講座 平成29年5月13日 健診寿命 ~心臓外科医の立場から~ 講師 関西医科大学病院 前院長 今村 洋二 先生 |
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【たまごビル 院長 石垣邦彦 先生】 今村先生は関西医科大学の枚方病院を1から造られた方です。そして運営も1からされて大きな成果をあげられた方です。心臓外科の専門医です。今日はフレイル(虚弱)のお話をしていただいて、介護の予防をしようということです。 |
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【今村 洋二 先生】 今村先生は慶應義塾大学医学部に入学し、心臓外科医となりました。卒業後、米国へ留学し心臓移植などの技術を学ばれました。 慶應義塾大学外科で1981年、向井千秋さん(外科医・女性宇宙飛行士となった)と一緒に、日本では珍しかった解離性大動脈瘤で入院した俳優石原裕次郎氏の手術を担当しました。 平成2年2月1日から関西へ来られました。関西医科大学付属枚方病院の建設と運営を行い、功績をあげられました。 |
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生活習慣を改善して健康寿命を延ばそう この50年の変化(2012年) ・総人口 9,015万人 ⇒ 12,751万人 ・高齢化率 5.7% ⇒ 24.1% ・平均寿命 男65.32歳 女70.19歳 ⇒ 男79.94歳 女86.41歳 ・100歳以上 154人 ⇒ 54,397人 ・子との同居率 79.9% ⇒ 43.2% ・特別養護老人ホーム 1施設80人 ⇒ 7,552施設498,700人 日本では、高齢者が増え、平均寿命も延びていますが、子との同居率は少なくなり、老人ホームが 増加しています。 |
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生活習慣を改善して健康寿命を延ばすためには 平均寿命が延びても、寝たきりや認知症では幸せではありません。いかに健康状態で長生き するかが問題です。 |
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そのためには |
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フレイル とは 高齢期に生理的予備能力が低下し、健康状態から、徐々に、要支援、要介護状態に陥る 中間的な段階を“フレイル"(虚弱状態)と定義されています。 高齢者は種々の要因で活動能力が低下し、さらに食欲不振による栄養低下による、痩せ、 筋肉量低下、筋力低下が生じ“サルコペニア(全身の筋力低下が起こること)“状態となり、 歩行速度の低下や転び易くなる身体的問題や、認知機能障害や抑うつなどの精神・ 心理的問題、独居や経済的困窮などによる社会的問題などがフレイルの要因となります。 1.身体的フレイル 体重減少:4.5Kg/年以上の減少 主観的疲労感:いつも以上に疲労感が強い 日常生活活動量低下:旅行、運動をしなくなった 身体能力(歩行速度)低下:O.8m/秒以下 筋力(握力)低下:男性26kg未満、女性18kg未満 転倒し易くなった 2.精神・心理的フレイル 認知症および軽度認知障害(MIC)、せん妄、抑うつ、閉じこもりなど 3.社会的フレイル 地域社会や人との関係が希簿化している生活状態 |
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フレイルを防ぐには |
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心臓外科医としての話。心臓の病気(心疾患)の本質は何か? |
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血液循環のモデル 右心不全状態 左心不全状態 |
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右心不全 むくみ 左心不全 心筋梗塞 | |
血液が滞る状態。 血液が送り出されない |
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予防は 生活習慣を改善して健康寿命を延ばそう それには 1. 絶対禁煙 2. 適当な運動 3. 食事内容の改善 4. 良好な睡眠 5. ストレス解消 6.適切な口腔ケア による動脈硬化性病変や感染の予防が大切 診断は 1. 専門医は問診、触診と聴診で90%は診断をつけられる 2. 胸部レントゲン写真 3. 心電図 4. 超音波検査 5. 心臓カテーテル及び造影検査 6. CT.MRI 治療は 1.安静 2.禁煙 3.減塩食、減酒、過食や偏食を避ける これでだめなら 4.強心利尿剤、降圧剤 それでもだめなら 5.手術 |
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心不全の状態による治療方法 クスリの原理 強心薬 β遮断薬 血管拡張薬 | |
心不全の治療を目的とする手術 |
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心臓の手術は、人工心肺装置を使って心臓をいったん止めて行われています。バイパス手術(血管を移植)、心臓移植、人工弁などが行われています。 最近ではカテーテルを使って、血管の中にステントをいれ、狭窄した血管を広げる手術が多く行われています。心臓を止めないので、身体の負担が少なくなります。 また、手術支援ロボット・ダヴィンチなど、機械で行う手術もあります。 技術は飛躍的に進化しています。 しかし、手術をしなくても良いからだの状態にしておくことが重要です。 |
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今村先生に感謝の花束が贈られました。 |