たまごビル 健康で生きる力をつける講座                    平成29年3月11日

       健診制度と予防 
       ~病理医の立場から~
    
     講師     泉大津市立病院
         副院長  四方 伸明 先生 

 【たまごビル 院長 石垣邦彦 先生】

たまご保育園も今週(4月3日)から普通保育にはいり、健康体の概念である「上腹部の柔軟度」を世界に普及する具体的なスタートとなりました。
以前から小学校中学校を訪問し、給食時間に「からだ」の「しくみ」を生かした「食べ方教育」を実施しして、元気になって人生を楽しめるようになってもらおうとしています。そして、元気な生徒さんの姿が家庭に伝わり、家族全員が元気になってきています。
現在たまご保育園に通っている園児が、大きくなって家庭を持てば、良い習慣を子供に伝える事になります。また、高齢者になっても身についた良い習慣で慢性疾患の予防になります。
「からだ」の「しくみ」を生かして、自分が元気になり、周りの人も元気にすることで医療費を抑え、社会的な貢献ができます。
 【泉大津市立病院 副院長 四方 伸明 先生】

予防は病気になる前に防ぐことですから良いことです。早期診断では症状がない状態で、病気を見つけます。そして、早期治療を行えば、病気にならずに済みます。いかにも、予防になっているような気がします。しかし、良いことだけではないことも含めて説明します。

●がんの話  “がん”と“がんもどき”の話。

(注釈)近藤 誠 医師 とは
  [患者よガンと闘うな」「がん放置療法のすすめ」「医師に殺され
ない47の心得」などの著者。「がんもどき」と「がん放置療法」で話題を集めた。


(例)近藤 誠 医師が「がん放置療法」を勧める例。
中村勘三郎さんは初期の食道がんが見つかり、食道がんの手術をし、回復したものの弱った体にウィルスが入り込み肺炎になり、急性呼吸窮迫症候群で死亡しました。手術をしたから体が弱り死亡したので、放置した方が長生きしたと言います。

  「がん放置療法」 近藤誠 医師 が言うがん治療法は、小さなガンを発見した場合、
(1)本当のがんなら、ガンは転移するものなので、見つかった時にはすでに転移しており手遅れです。手術を行っても患者にダメージを与えるだけで、がん細胞を殺すため化学療法をすれば、患者は苦しむだけです。結局根治しないのに、患者を苦しめるだけである。本当のがんが見つかった時は、もう手遅れである。

(2)しかし、“がんもどき”(悪さをしないがん)という状態では、がんは転移しないで
大きくなるだけなので放置しておく方が患者のためです。

(例)近藤 誠 医師が「がん放置療法」を勧める例。
中村勘三郎さんは初期の食道がんが見つかり、食道がんの手術をし、回復したものの弱った体にウィルスが入り込み肺炎になり、急性呼吸窮迫症候群で死亡しました。手術をしたから体が弱り死亡したので、放置した方が長生きしたと言います。

    
しかし、がんが見つかる場合、患者さんに異常が起きている場合が多く、食道下部の例などでは、がんの肥大化で食道を食べ物が通らず、放置療法では、患者は餓死することになります。この場合、がん化した部分を手術で切り取って、食道と胃の上部をつなげば、患者さんは生きることができます。
病理の経験では、がんにはいろいろなものがあり、早く転移してしまうものや、ゆっくりと大きくなるものがあります。しかし、ゆっくり大きくなるものでも、リンパ管や血管まで届くと、転移してしまいます。転移すれば危険です。時間が経つほど危険が増すため、小さい時に切り取って処理すべきです。
病理医ですから、毎日がんの患者を診ていますが、がんと闘って命拾いした人を多く見ています。
中村勘三郎さんの場合でも、術後に合併症をおこし、誤嚥から肺炎になったようですが、病院側が充分注意すれ防げたと考えられます。
放置しても、がんが大きくなり、食道を食べ物が通らず、長生きはできないと思われます。
   
 
早期発見のがんは、早く手術した方が良いと言えます。転移があり、大きくなったがんを手術して、がんに打ち勝っている人も多くいます。「放置療法」はがん治療の合併症などで、うまくいかなかった例をあげていますが、全てそうなるわけではなく、やはり早期に手術すべきと思います。

●検診制度と予防
予防と早期診断は別です。早期診断で、うまく処置できれば良いのですが、まだ何もない状態で、処置が悪ければ、何もしない方が良い結果になります。しかも、詳しく検査したら、処置しなくてもよかったということもあります。
前立腺がんの場合、腫瘍マーカーで調べますが、基準値を超えたので手術した場合、何もなかったら問題です(手術の後遺症が出る場合もあります)。早期診断をしたことによる過剰な治療が問題です。
早期診断は「善」という考え方があり、早期治療で助かった良い例だけをあげているが、手術などは後遺症があり、また、事故などもあります。都合の悪いところは隠されています。
早期診断・早期治療は、病院やクスリメーカーに多くの利益を与えます。したがって、都合の悪いことは隠して、過剰な診断や治療を行っていることは、問題です。

●心房細動
ここで脈をとりました。きっちり脈がうっていますか。乱れていませんか。
70才を超えていたり、高血圧・糖尿病がある人は不整脈が多く見受けられます。
心臓では汚れた血が右心房 → 右心室 → 肺 → 
肺から酸素を多く含んだ血液 → 左心房 → 左心室 → 全身へ送られる。

 
 心房細動は、肺から血液が戻ってくる左心房が1分間に350回ほどの速さで振動します。実際には左心房が震えている状況です。こうなると、左心から不定期に血液が送り出されるため、左心室からはっきりした脈で血液が送られず、脈拍が乱れます。不整脈です。
原因は、左心房に入る肺静脈から電気刺激がバラバラに出てくるため、脈が不整になります。
左心房が震えるため、左心房の中で血液のよどみができます。

  
 70才以上や、血液がよどみ、血糖値が高い場合など、左心房に血栓ができます。心房細動で血液がよどむため左心房に血栓ができるのです。
問題は左心房でできた血栓が、全身に運ばれることです。脳に行けば脳梗塞になります。
元巨人軍の長嶋監督やサッカーのオシム、石原元東京都知事などが脳梗塞を起こしています。
心房細動があると不整脈が起こり、血液の流れがよどんで血栓が出来、脳梗塞を起こすのです。そこで、簡単に手で持っただけで測れる心電図を使い、不整脈を調べて早期診断を行う活動があります。
イベントなどで無料検診しています。検診で心房細動が見つかったら、循環器の内科を紹介し、血栓を作らせないために、抗凝固剤を処方します。そうすれば、患者は脳梗塞にならず、内科は患者を得ることができ、病院は治療方針を誘導できます。
この話だけきくと、とても良い話のようです。しかし、以前よく使われていた抗凝固剤のアスピリンは、動脈など血流の早い場所で生成しやすい血小板が関係している血小板血栓に効きますが、今回のような、血液がよどむところで出来る血栓には、凝固因子は抑えないので効果がないことが分かりました。そこで、何とかしようとして使われる抗凝固剤がワルファリンです。しかしワルファリンは非常にコントロールが難しいクスリです。少ないと効果が無く、使いすぎると、出血し危険です。胃潰瘍や大腸の潜血など、何処かで出血していると血が止まりません。
一番恐ろしいのは、脳に出血を起こしたときです。ワルファリンを飲んで、脳梗塞は防げても、脳出血を起こして死亡しては何をしているのか分かりません。
          
  上図はたまご理論の「川上・川下論」です。 川上に原因があるのに、現在の医学では結果としての症状(川下)だけを診てクスリで治そうとして、かえって危険度が増している図です。
心房細動も川下の結果です。原因である川上を良くしない限り、病気は治りません。
心房細動の原因は、肺静脈からの不正な刺激です。これは心臓に負荷がかかって起こることなのです。
肺静脈がきれいに還流していたら起こりません。不眠や寝不足などのストレスや高血圧・糖尿などの負荷がかかり、不正な刺激から心房細動を起こしています。
心房細動が見つかると、現在の医療では、心臓のアブレーション(切除)と言われる電気で原因部分を焼く手術や抗凝固剤で治療します。手術は事故や後遺症が出る場合があり、抗凝固剤は出血の危険があります。

     
 たまご理論の健康体の図です。もともと健康な状態があり、第1ゾーン、第2ゾーンと少しずつ悪くなって結果として第3ゾーンの病気が出ているのです。
心房細動も結果です。  

(川上 原因)ストレス・過労・不眠・高血圧
 ⇒ 肺静脈の血流の乱れ ⇒ 心房細動(川下 結果)

現代医学は第3ゾーンの結果(症状)を診て、くすりや手術で治そうとします。
早期診断は、結果としての症状が出ていない段階で見つけるのですが、早く見つかるのが良いことでしょうか。早く見つけて治療すれば予防となり、良いことと言われています。しかし、症状が出る前の軽い段階で、症状が出た時と同じ治療を行ってよいのでしょうか。軽い段階なのに、過剰な治療を行うことになります。
たまご理論の川上(原因)となる要因を取り除く様な治療が必要ではありませんか。
クスリや手術は、負担が大きく、未だ病気になっていない段階で行うのはよくありません。
たまご理論では、クスリを使わず、原因を取り除いていきます。ここから石垣院長へ変わります。

 【一般財団法人 石垣ROB医療研究所 理事長   
          たまごビル 院長 石垣 邦彦 先生】

 
 「生まれて、生きて、老化して死んでゆく」は当然のことです。
 
 「からだ」は栄養を取り入れ、吸収し、老廃物を排泄する「しくみ」で出来ています。
肺の下、胃の上にあるのが横隔膜です。横隔膜が大きく動くことで、肺や胃が活発に動きます。
「上腹部の柔軟度」が柔らかくなると、横隔膜が上下に良く動き内臓の動きが大きくなり、循環が良くなり、心臓の負担も減り、心房細動も防げます。
     
 「上腹部の柔軟度」がやわらかくなると、重心が安定し、曲がった腰・膝が伸びます。
「上腹部の柔軟度」がすべてに関係しています。「上腹部の柔軟度」がやわらかくなることで、クスリや手術を使わない安全な治療ができます。
もし、体に元に戻る力がなくなっている時は、リスクがあっても、クスリや手術で「からだ」をもとに戻しましょう。しかし、もとに戻ったら、クスリを段階的にやめて、「上腹部の柔軟度」をやわらかくし、「からだ」の「しくみ」を使って健康体に近づけていきましょう。クスリは「からだ」にとって不自然なのです。
「上腹部の柔軟度」をやわらかくしてやると、呼吸も循環も姿勢も自律神経も内臓全体の動きが整うために、元気で生きられる子供ができます。それを保育園でやろうということです。

 
 
        
 現代医療の治療は、川上で汚れ垂れ流しているのに、川下でヘドロを掻き出すという状態です。それをクスリでやると、無理があります。クスリの副作用や、下げ過ぎという危険度が増します。
クスリなしで治す必要があります。そのためには生活を立て直す以外手はありません。生活を立て直して、ROB療法を行うと治ります。クスリも不要になります。
保育園のころから、家庭も巻き込んで行えば、もっと効果が上がります。
検診の話がありましたが、検診も必要ですが、それよりも「上腹部の柔軟度」をやわらかくする生活が大事です。生活の中の身体的・精神的ストレスをとり、川上の原因をとることで根本から治療ができます。
意欲が出て、面白い毎日が過ごせるようになります。「上腹部の柔軟度」を診ることで、病気になる予兆が分かります。「上腹部の柔軟度」をやわらかくすることで病気を予防し、人生を楽しみましょう。