たまごビル健康講座                       平成28年2月13日


   生活習慣を改善して、健康寿命を延ばそう

     関西医科大学名誉教授
     関西医科大学附属枚方病院 前病院長  
     柏友会 楠葉病院長   

            今村 洋二 先生

 【解説】 

    関西医科大学 
    病理部教授
         四方 伸明 先生

今村先生は、心臓外科医で前関西医科大学 枚方病院長です。
枚方病院の立ち上げからご尽力されました。

今村先生は、心臓外科専門医です。血管から老化すると言われ
ていますが、老化には個人差があり、高血圧、糖尿病など
生活習慣病により、循環器である動脈、ポンプである心臓を痛める
ことによって個人差が出てくるのではないかと思います。
心臓の専門医である先生から、生きている証である心臓の機能を
いかに良く保つかということで、生活習慣を改善して健康寿命を
のばすお話をしていただきます。

 
【今村 洋二 先生】

東京都千代田区神田に生まれた江戸っ子です。           
慶應義塾大学医学部に入学、外科医になりました。アメリカへも
留学して3年ほど人工心臓や心臓移植などを学びました。
向井千秋(日本人女性 初の宇宙飛行士。慶応義塾大学医学博士)
さんと共に石原裕次郎氏の心臓手術をしました。

平成2年の2月に関西医科大学に来ました。それから、現在まで大阪で
単身赴任です。最初は、関西医科大学の滝井病院へ入り、
枚方病院設立の際は一から設計しました。
当時華やかだったパナソニックから人材育成を学びました。

 
 

     病院を作ることは、建物を作るだけではなく、人材(医師)を育成することです

  

    関西医科大学枚方病院を育て上げました。「頼れる病院」の評価をいただきました。

 
 
●老人福祉法制定から半世紀たった現状
   
 
 ●高齢化に伴って生活習慣を改善して健康寿命を延ばそう
      
      平均寿命まで健康でいることが大切

       

      
      早めに始める事が大切

       

      

 ●生活習慣の改善策は

 飲酒と禁煙   
   絶対に喫煙しない。今からやめる。酒は適量。

 運動       
  毎日30分の中等度強度の運動を続ける以外に、日常のその他の時間を座位がちに過ごさない
  ことが重要。

 食事
  健康寿命を延ばすには、動脈硬化性の病気の予防が大切です。
  御飯と一汁三菜の和食 
  主食の御飯の他、主菜は魚、肉、卵、大豆製品、副菜は野菜、いも類を主材料にした料理。
  普茶料理もおすすめ。

 ストレス解消
  ストレスとうまくつきあい元気な毎日を。
  笑いのある、おしゃれで、楽しみ、心をときめかす生活をして、ストレスをためこまない。

 睡眠
  適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。

 口腔ケア
  80歳になっても自分の歯を20本以上保とう

    

 ●心臓の病気(心疾患)の本質は何か?

右心室の病気

    

   右心室の収縮が悪くなると、静脈血が肺に行かず、右心房にうっ滞します。静脈血が溜まってしまうため
   肝臓が膨れ、下大静脈などが膨れ、足が膨れます。頭の方にも静脈血が溜まりうっ血します。
   これがむくみの原因です。静脈の血液が沢山溜まっていることをむくみと言います。
   写真上部は静脈血が溜まり足が太く膨れた例です。

 左心室の病気

      

   左心室が悪くなると、左心室から全身に血液を送っていますので、動脈血を全身に送られなくなります。
   充分な酸素を供給できなくなります。左心室が悪くなると、一気に症状が悪くなります。左心室が悪くなると、
   肺から左心房へ血液が流れず、肺の血液がうっ血し、肺に血液がたまり、呼吸が苦しくなります。
   写真の下の状態です

 心筋梗塞

  

    心臓の冠動脈が詰まり心筋梗塞を起こします。

 
●生活習慣を改善して、健康寿命を延ばそう

    


 ●心不全と治療

   
心不全の治療には、強心剤と、利尿剤が多く使われます。

 「強心薬」
      心臓を強く動かすことで、心拍数を減らします。しかし、心臓に無理をかけるので、
      注意が必要です。

 「利尿薬」
      水分を排出し、むくみをとり、血圧を下げるため、心不全の治療にも使われます。

 「β遮断薬」
      心臓を弱く動かして血圧を下げます。

 「血管拡張薬」
      血管を広げる事で血液の流通を良くし、血圧を下げます。

 しかし、くすりは副作用が多く、出来るだけ飲まない方が良いのです。
 くすりを使うより、生活習慣を改善し、安静、禁煙、減塩、水を飲みすぎないようにすることが大切。
 それでもだめなら、くすり、それでもだめなら手術です。

 【今村先生との質疑応答】

 (問)歩き方に注意することは
   TVで旅館の女将さんの歩き方を紹介していました。15000歩ほど歩いているようです。
   しかし、あまり健康と思われません。

 (答)歩き方は普通に、真っすぐ前を向いて歩幅を広く取って歩くことが大切。
   過ぎたるは及ばざるがごとし、10000歩程度でもよい。
   また、気分転換で外を歩くことも大切。

 (問)心房細動の再発が心配
   会社を辞める前は数か月ほどで肺の気胸を繰り返し、腰痛もありました。辞めたら起こらなく
   なりました。
   4年ほど前に心房細動(心臓の不整脈で脈拍が多くなったりする)を起こし、
   心房細動アブレーション(カテーテルで心房筋に熱を与えて焼灼する治療)を受けました。
   再発が心配。

 (答)心房細動の原因はわかっていません。しかしストレスが少なくなれば起こりにくくなります。
   心房細動は、それほど心配することはありません。あまり心房細動を心配するとストレスに
   なるので、あまり考えない方が良い。バイアスピリンだけで十分。

 (問)禁煙で体重が増えてしまった
   禁煙をしたら、体重が増えてしまった。喫煙で少しやせたが、また禁煙したら体重が増え、
   結果的に太ってしまった。

 (答)煙草をやめたら太るというのは言い訳です。煙草と肥満は早死にするためのものです。
   食べ過ぎなければよいので、意思の問題です。自分の将来に対する選択です。
   いざとなってからでは間に合わないので、今日話をしているのです。
   禁煙外来などもあり、苦しいのは一時的なことで、絶対喫煙をしないという意思が大切です。